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魔王

魔王
伊坂 幸太郎
魔王
定価: ¥ 1,300
販売価格: ¥ 1,300
人気ランキング: 2428位
おすすめ度:
発売日: 2005-10-20
発売元: 講談社
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「魔王」に比べて「呼吸」がいまいち
 強烈な個性を持った政治家に群集が扇動されて行く危機感を抱いた男が、特異な能力を使って、世の中の流れを食い止めようとする物語「魔王」。それから五年後、舞台を東京から仙台に移して展開される物語「呼吸」。ふたつの物語から構成されている本書の底を貫くテーマとして、群集が何者かに引きずられるように行動していく恐さと、その流れに逆らう兄弟の心を結んでいるもの、無条件の信頼とでもいう絆の強さ、それを描き出すところにあったんじゃないかという印象を持ちました。
 安藤潤也の兄の視点で話が進んでいく「魔王」と、潤也の妻の視点で進んでいく「呼吸」。不気味な恐さが行間から滲み出してくる「魔王」に比べると、続く「呼吸」の物語は、話のテンションが一段落ちるというか、前段の話とぴたりとハマりきっていないもどかしさを感じたんですね。「魔王」の話の後、「さて、弟はどういう行動に出るのか」と期待していた私には、ちょっと物足りない展開だったなあ。
 マスコミによって作り出されるイメージのひとり歩き。巨大なものに呑みこまれるかという、やばい状況に陥って孤立する主人公。四面楚歌の中、強い信頼のつながりだけが唯一、主人公の心の支えとなるところ。そうしたモチーフは、本作品の二年後に刊行される『ゴールデンスランバー』で、よりパワフルに、よりスリリングに生かされています。そちらもぜひ!

あの心は美しかった
私がこの小説を読んでいた頃、建築家の黒川紀章さんが都知事選に立候補されて、世間から「どうしちゃったの?」と白い目で見られていました。実は私自身もその1人でした。しかし、小説を読み終わり、報道番組での黒川さんの姿を見たとき、私は「あっ」と、鳥肌の立つような感覚を覚えました。、ここからは私の勝手な解釈ですが、黒川さんの活動は美しかったと、この場を借りて断言したい。黒川さんが目指したことと、この小説とが、私の中で結び付いたような気がしました。私の勝手な解釈でした。

人間が人間を動かす時
人間が人間を動かす時、それは見えないパワーなのか
           それは人の考えを変えてしまう宗教的なリーダーシップなのか
           それとも金なのか

私はどれも怖いと思った。
兄と弟、日本を動かす政治家。
兄は自分が持っている念力で政治家に立ち向かい、政治家は自分の掲げる公約で世間の支持を熱烈に集め「国」を動かそうとする、
弟は最後に自分にも兄と一緒のパワーがある事を知り、庶民が「国」を動かすには、
「お金」が必要だと考える。
どれもががかなり危険因子的だ。ひとつ間違うとどれも危ない。
政治に興味のない人でも本当にありそうな現実に、いち個人として立ち向かえるのか?などと
思わせる一冊でした。



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