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結婚帝国 女の岐れ道
上野 千鶴子

定価: ¥ 1,785
販売価格: ¥ 1,785
人気ランキング: 153855位
おすすめ度:

発売日: 2004-05-27
発売元: 講談社
発送可能時期: 通常24時間以内に発送
痛快かつ「気づき」を与えてくれる対話
女性が生きていくことの難しさについて正面から向き合ってきた賢い女性同士の対話だけあって、大変読みやすく、自分も二人の会話に参加しているような感覚で読むことができた(弾丸のような会話で攻めてくる上野さんもものすごいけれど、それに怯まずにここまで率直に答える信田さんはもっとすごいと感心)。
内容は、タイトルから想像できるようなテーマとはずれたものも多く、幼少時の性的虐待や家庭内暴力など、良く言えば守備範囲が広く悪く言えば散漫になっているようにも思える。30代未婚女性をとりまく情況にテーマをしぼった方がよかったのではないだろうか。
全体に流れているのは、あらゆる通俗的な幻想から自由であれという力強いメッセージ。
「自立」「本当の私」といったものの胡散臭さを痛快なトークで一刀両断にしてくれる。
私にとっては、自分の中にあった「社会的評価への依存症」という病理を発見することができ、今後の自分の人生を歩んでいく上で大変参考になった一冊だった。
怖い現実
タイトルも怖いが、中味も怖い。でも、これが現実なのだろう。
対談で語られる空洞化した家庭生活を送っている人や、やがて不良債権化しそうな
パラサイトシングルは私の回りにも確かにいる。
しかし、私が何よりもショックを受けたのは、上野氏、信田氏のふたりともが、
「家族は幻想であり、幸せな結婚はない」というのを当然の前提として語っている
ことだ。
傍からどう見えたかは別として、私自身は精神的に満たされた、幸せな家庭で育っ
たし、現在の自分の家庭についてもそう思っている。そして、私の回りにも、同じ
ように幸せな家庭生活を送っている人は何人もいる。私たちは少数派であるかも知
れないが、そういう人たちが存在していることも知って欲しい。
基本的には、両氏の考えに同意できるのだが、なんだか深くて暗い穴底を覗きこん
でしまったような読後感だ。
人は皆、自分の時代の問題を抱えて墓場に行くのか
内容については他の評者の方々がまとめておられるので、私は別のポイントについてコメントさせてください。
p200で信田氏がアルコール依存をエタノールへの物質的依存だと規定した場面で、上野氏は「わたしは、そうは思わないです。人間はもっともっと深く言語的で、かつ社会的な生き物だと思うので」と切り返している。社会構築主義者の面目躍如(ちなみに第8章「人は、社会的存在でなければならないのか」で、上野氏はNOと答得ているが…)。他方、信田氏の方には本質主義の匂いがして、たとえばp243でのACをめぐる2人の応酬にも、両者の人間観の違いが顔をのぞかせている。また婚姻関係に対する姿勢の違いも、詰めればかなりの議論になりそう。でも残念ながら、そういう対立はここでは深められていない。
全体として、上野氏の巧みなディベート技術が印象的。たとえばp30で松田聖子の評価について対立した場面で、上野氏は「じゃあ、このへんでやめましょう。わたしは小倉千加子さんと違って芸能ネタに弱いから(笑)」と、深手を負わないうちに撤退してしまう。立場が逆だったら、上野氏はたぶん追撃し、打撃を与えていると思う。
最後に印象深かった上野氏の発言。p238でセクハラ裁判常勝の弁護士の「わたしたち、勝てる理論なら何でも使うのよ」という言葉に感動したと述べた後、p245ではさらに「学者の中には、理論は『正しいか間違っているか、どちらかだ』と言う人もいるようですが、わたしは、理論は『つごうがいいか、つごうが悪いか、どちらかだ』と思うんで」と啖呵を切っている。
こういう立場はポストモダン的な相対主義に直結するわけだが、ケンカ道場の道場主ならともかく、仮にも社会「科学」を看板に掲げる大学教授がいまどき不用意に口にしていい言葉ではない。世代を感じさせて、上野氏が時代に追い越されつつあることを示していると思う、悪いけど…
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